良い設計とは何か?――設計者が大切にしたい考え方

良い設計とは?

設計の良し悪しは何によって決まるのか考えたことはありますか?例えば、次の中ではどれが「良い設計」でしょうか?

・壊れにくい

・直しやすい

・作りやすい

答えは、どれも正解です。なぜなら、立場によって「良い設計」の定義が変わるからです。

・ユーザーは性能を求める

・製造部門は作りやすさを求める

・サービス部門は整備性を求める

・営業部門は価格を求める

確かに、自分で自動車を購入する際は価格や性能は比較しますが、「組立性が良いからこの車を選ぼう」と考える人はいませんよね。一方で、設計者はこれらすべての要求を考慮しながら設計を進めなければなりません。では、何を基準に判断すればよいのでしょうか。私は、良い設計とは「どれか一つを極端に追求した設計ではなく、それぞれの要求をバランス良く満たした設計」であると考えています。本記事では、考えるべき項目を整理し、「良い設計」とは何かを一緒に考えていきたいと思います。

設計者が考えるべき項目

設計者の仕事は、「図面を描くこと」だけではありません。製品は設計されたあと、製造・組立 → 輸送 → 販売 → 使用 → 点検・整備・修理 → 廃棄というライフサイクルをたどります。設計者は、このライフサイクル全体を見渡し、どの工程でも困る人が出ないように設計する必要があります。

・性能

・コスト

・サイズ/重量

・安全性

・組立性

・操作性

・デザイン

・メンテナンス性

もちろん、要求仕様として数値で決まっている項目もあります。しかし、それだけでは十分ではありません。 例えば、安全性を高めるためにカバーを追加すると、組立性やメンテナンス性は悪くなることがあります。逆に、軽量化を優先すると強度や耐久性に影響する場合もあります。つまり、これらの項目は互いに影響し合うため、すべてを100点にすることはできません。では、設計者は何を基準に優先順位を決めればよいのでしょうか。

設計者はどうすべきなのか

メーカーのポリシーを考える

メーカーによって、製品開発で最も大切にしている考え方は異なります。例えば、安全性を最優先としているメーカーであれば、多少コストや組立性が悪くなっても、安全性を優先すべき場面があります。例えば、製品稼働時の接触を防ぐために保護カバーを追加すると、安全性は向上します。一方で、組立性やメンテナンス性は悪くなるでしょう。それでも、最低限の組立性・メンテナンス性を満たしているのであれば、安全性を優先するという判断になります。

関係部門にレビューや実機評価してもらう

設計者だけでは、すべての視点を持つことはできません。製造であれば生産技術、安全性であれば品質保証、操作性であれば試験担当など、それぞれの専門部署にレビューしてもらうことで、自分では気付けない課題が見えてきます。また、設計にのめり込むと、自分の設計が「良い設計」だと思い込みやすくなります。その思い込みを防ぐためにも、部門外から意見をもらったり、実機試験で定量的に評価したりすることは非常に有効だと考えています。

社内の評価基準に準拠する

会社によっては、操作性やメンテナンス性などについて社内基準が整備されています。例えば、「日常点検は工具なしで実施できること」といった基準があれば、それを満たすことが最低ラインになります。

競合機・過去機種と比較

比較対象を持つことも有効です。過去機種では操作性を重視していたとしても、営業に市場の声を確認すると、「それより価格を下げてほしい」という意見が多いこともあります。その場合は、操作性を必要十分なレベルに抑え、その分コストや重量の改善へ振り向けるという判断もできます。競合機も重要な比較対象です。営業からユーザー評価を聞いたり、実機をベンチマークしたりすることで、自社製品の強み・弱みを客観的に把握できます。

まとめ

良い設計には絶対的な正解はありません。立場によって求められるものが異なり、それらは多くの場合トレードオフの関係にあります。だからこそ設計者は、要求を整理し、優先順位を決め、その判断に責任を持つことが大切です。私は、良い設計とは、一つの性能を極端に追求するのではなく、さまざまな要求をバランスよく満たした設計だと考えています。

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